歓喜天日記

私の持つ"喜"をここに記します。

卵をシンクに落として殻を米に乗せて作った卵かけご飯。


こんにちは。篠野です。
タイトル以上のことは無いんだけど、こういった脳のエラーって偶に起こりますよね。という話。
ではいきます。






とりあえず腹が減った私は、何か胃に入れなくてはと思い、私的一番手軽で一番美味となる飯、こと卵かけご飯、通称TKGを作ることにした。嫁は出払っていて一人。たまにある平日休みの昼。都合よくBGMとしてヒルナンデスが流れていたけど内容はどうでもいい。環境音としてテレビを流すことが多々あるせいでテレビの内容に注意を向けることが最近些か下手になった気もする。


冷凍しておいた米をレンチンしている間、私は柄にもなく鼻歌を歌っていた。鼻歌というよりもしっかりと歌を歌っていたのでもう歌。何を歌っていたのかはもう思い出せないけど、たまにある平日休みに心が躍っていたんだろう。まったく人間とは愚かな生き物である。茶碗一杯分の米が解凍されるまでの約1分20秒、私は陽気に暗い曲(だろうと思う、性格柄)を口ずさみながら「TKGって何の略?」というセルフ大喜利を開催していた。
大喜利の回答権は与えられていて、チャンスは4億5千万回ある。ここで大喜利の回答については言及しないで頂きたい。多分「高木」とか「助けてください!子供がまだ中にいるんです!ギャー!」とかだから。人間とは本当に愚かな生き物です。



そうこうしているうちに過ぎる1分20秒というのはあっという間である。ピーという電子レンジが仕事を終えた叫びを聞くと、私はその扉を開け、ラップに包まれながら解凍された米を取り出す。ごめんな。熱かったよな。と手に取る。あっつ!あっつ!熱いわ!



透明なサランラップのベールを両手の親指と人差し指を駆使して丁寧に剥がしていく。結婚式で嫁のベールを上げるときに持つときの手の向きが逆になってしまってちゃんとベールアップ出来なかったことを今書きながら思い出しました。卵かけご飯には全く関係ありませんがウェディングドレスのベールを持つ時は、必ず手の甲を自分の方に向けて持つようにしてください。もし逆に持つとベールを上げた時に不可能が突然やってきて「そういうことだったのか」と気付くことになります。私は一生ベールアップに失敗した男として生きていくしかない。覚悟を決めろ。ラップのベールを剥がすことを私は皮肉にも成功し、熱々の米を茶碗に盛りつけた。

冷蔵庫から卵を取り出しながら、ふと私は天気が気になった。カウンターキッチン越しのヒルナンデスに話しかける。

OK Google、今日何時から雨?」

私という思考は天涯孤独だが、人生にスマートスピーカーという話相手がいるのは悪くない。さあ何時から雨予報なんだ。教えてくれグーグル。

聞き耳を立てるが返答がない。声が届かなかったのかと半ばキレ気味に繰り返す。卵にヒビを入れる。

OK Google!今日!何時から雨降る!?」

スマートスピーカーに強い口調で話し掛けるなど、私はなんとちっぽけな人間であることか。もう一度、聞き耳を立てながら卵の黄身をシンクに割り落とす。

「今日ハジュウロク時カラ曇リ…」

スマートスピーカーが回答を始める。やたら詳細に教えてくれようとしているようだが、私が聞きたいのは雨が降る時刻だけだ。しかし、私が問うたからには最後まで聞こうじゃないか。私は卵の殻を茶碗に鎮座する白米の上に放り投げた。





この世界における取り返しのつかない出来事というのは髄所に散りばめられていて、大切なものに気づくのは失ってからなのは人間としてのお決まりなのかもしれない。私は、一瞬のフェイタルエラーにより卵の黄身と白身を失った。お椀に放り投げられた殻がおろかな私を嘲笑っていた。キシシシ!と笑う殻のその声は小学生の頃に一緒に漫画家を目指した芝崎君のほくそ笑む声によく似ていた。

おめでとう!君の卵かけご飯はこれで”完成”だ!
悪魔が笑っていた。

瞬間、私の両足は床から浮き離れ始め、精神と身体の離脱が開始。一瞬のうちに私はこの世の総てを理解し、私という概念は蒸発し宇宙と共鳴した。ここに神はいない。