歓喜天日記

私の持つ"喜"をここに記します。

 

つまり彼が言いたいのはこうだ。

 

「聞こえるか?物語というのは、誰かが物を語ることで初めて冒頭としてその生を受け、幕を開くんだ。」

実に雄弁に語るその口振りは、私の焦燥感を駆り立てるには十分だった。彼はその内なる閃きを造形するように話し始めた。
かくいう私は、いつまでも私を超越することができない。まったくの凡である。物語を語り始めるにはインスピレーションが必要だ。だから私はずっと欲している。私が予想だにしない出来事が、物語を語り出すには必要なのだ。四六時中、閃きについてを問い続けている。愛とセックスと平和と戦争と殺人とツイッターとアルコールと。思想や社会問題をつらつらと。私は私の想像を超えることができない。

「その重い暗幕が今、冒頭を語り始めたことで初めて開かれていくんだよ。」

彼は饒舌に続けた。羨ましかった。私は焦燥感に押し潰されないよう、この能動的思考を棄ててしまわないよう、私のインスピレーションの血となり肉となる感情をひとつひとつ大事に拾い上げ、鞄に詰めていく。
そして私にはもう一つ自覚している問題がある。まさに重篤そのもので目を逸らしてはならない。本当に私が対峙するべき問題は私の中に宿っている闇についてだ。

 

「悪いことがしたい。」
彼は言った。

 

聞こえるだろうか。
物語を語り始めるにはインスピレーションが必要だ。
私が予想だにしない出来事が、物語を語り出すには必要なのだ。

 

 

 

 

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なんとなく物語の冒頭を思いついたので書きました。
続きもしないし始まりもしません。かなりの確率で。
滅茶苦茶要望があれば話は別ですが、私小説書いたことないもん。